ジムカーナとキャンプを楽しむ6速MTのスバル フォレスターSTIバージョン
2024/12/06

車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
いろいろな“時間”と“経験”をくれるファーストカーのフォレスター
大学生のとき、キャンプとスノーボードの魅力にハマった。自転車部の部員として全国をロードバイクで走るかたわら、実家のホンダ フィットを借りて各地の雪山やキャンプ場を目指した。
そんな日々に充足はしていたものの、おおむね誰もがそうであるように、そのうち三輪さんも“自分の車”が欲しくなってきた。
「親のフィットも便利でナイスな車ではあったんです。でも、使いたいときにいちいち両親の予定を確認して、いちいち承諾を得て……ってやるのは、端的に言ってしまえば面倒ですし、お互い大変でもありますし」
という理由で今から2年前。社会人となっていた三輪さんは、最高出力265psの2.5L水平対向エンジンに6MTを組み合わせた「スバル フォレスターSTIバージョン」の中古車を購入した。


そして今、それでもってジムカーナ(パイロンで仕切られたコースで行なうタイムトライアル競技)の練習などに励んでいる。
……と書くと、誰もがその文章構成の破綻に気づくだろう。「ちょっと待って! この三輪さんという人はキャンプやスノボが好きで、だから車を買ったんでしょ? それならば、買うべきフォレスターは6MTで265psのSTIバージョンじゃない普通のATのやつで、そして向かうべき場所もジムカーナのコースじゃなく、キャンプ場または雪山でしょ?」と。
だが三輪さんは言う。「確かにご指摘のとおりなんですが(笑)、僕が脳内で思い描いていた“欲しい車”と自分の使い方、そして予算から逆算すると、どう考えても6MTで265psのフォレスターがベストだったんですよね」

キャンプとスノーボードも大好きだが、“乗り物”も大好きだった。だからこそ大学では自転車部に入ったし、オートバイも買った。そしていざ四輪車を購入する際には「せっかく買うならMT車がいいし、スポーツカーもいいよなぁ……」と、その方面の車種も真剣に検討した。
「そういった“俺のニーズ”のすべてをおおむね満たすことができるのは、2代目フォレスターのSTIバージョンか、三菱 ランサーエボリューションワゴンしかなかった。で、ランエボワゴンは完全に予算オーバーだったため、フォレスター のSTIバージョンを選んだ――という次第なんです」
そして岐阜県の販売店まで買いに行ったスバル フォレスターSTIバージョンが2022年10月に無事納車されると、初代スバル インプレッサWRXに乗る職場の先輩から「三輪くんもこういう車を買ったからには、ジムカーナをせなあかんな」と言われ、四駆のSUVで雪山やキャンプ場へ行くより先に、まずは有無をも言わせずジムカーナコースへ連れて行かれた。

「STIバージョンとはいえ、フォレスターはその先輩が言う『こういう車』ではないと思うのですが(笑)、まぁ結果オーライです。初めてやってみたジムカーナは難しかったけど楽しかったですし、MT車を動かすうえでの練習にもなりました。フォレスターと過ごす時間の中心はあくまでもキャンプ&スノボと日々の買い物ですが、今もたまにジムカーナの練習に参加して、サイドターン(サイドブレーキを利用して車をスピンさせて方向転換するテクニック)とかやってます。なかなかキマりませんが(笑)」
とはいえ本人が言うとおり、メインの使い道はあくまでも「スノボとキャンプ」であり、まだ雪が降っていない時期は毎週末、パートナーである末吉さんや友人などと山へ行き、のんびりとした時間を過ごしている。


そして雪山シーズンが始まれば、仕事が終わった金曜の夜にゲレンデへ行き、まずは滑りまくる。そして館内で食事と風呂を済ませたらフォレスターの車内へ戻り、荷室に敷いたマットの上で寝袋にくるまって寝る。そして翌朝また滑り、そしてフォレスターにて横浜市の自宅へ帰って行く。

宿に泊まるのではなく車中泊で済ませることで、支出を抑えている三輪さんではある。だがそれでも毎週のように遠出をしていれば、どうしたってそれなりの金はかかる。そして愛車は「18年落ちの高性能車」であるがゆえに、整備や修理にもそれなりの金がかかる。またついでに言ってしまえば、この時代のスバル製水平対向ターボエンジンは、燃費も決してよろしくはない。
つまり、特に高給取りというわけでもない普通の26歳会社員である三輪さんのおサイフの中身は、おおむね常にすっからかんである――ということだ。

「その問題について、もちろん考えることはあります。車がなくても生活できるエリアに住んでますから、『車は手放して、もっと貯金した方がいいのかな……?』と思う瞬間もありますし、せめてもっと経済的な、それこそハイブリッドのフィットとかに乗り替えた方がいいのかな? と逡巡する時間がゼロなわけではありません。でも――」
でも、「金銭的な損失」と「やりたいことをやらないまま生きるという、人生における根本的な損失」を天秤にかけたとき、三輪さんは前者を選んだ。つまり、スバル フォレスターSTIバージョンとともに――そしてパートナーである末吉さんとともに――「多少金欠にはなるが、今を生きる」という道を選んだのだ。
「今の僕の生き方が正しいのかどうか、正直わかりません。わからないというか、堅実に貯蓄もしながら生きる方が、むしろ正解なのかもしれません。でも、もしもこの車に乗っていなかったら経験できなかった様々なことや、この車じゃなければ出会えなかった人とのつながりを通じて生まれた “思い出”は……たぶんですが、お金には換えられないものだろうと思っています。だから今は、このフォレスターを手放すつもりはありません」

26歳にして「つみたてNISA」などを始め、遠出もせず、必要なときだけカーシェアリングを利用した場合の、三輪さんの時間線。あるいは現状のまま、スバル フォレスターSTIバージョンとともに――やや金欠にはなるが――たくさんの“経験”を積み重ねた場合の時間線。
そのどちらを、例えば40歳や50歳になったときの三輪さんが「正解だった」と思うことになるかは、誰にもわからない。そして当然ながら筆者は、その判断や助言をする立場にない。
だがもしも「親戚のおっさん」ぐらいの立ち位置から言わせていただくことを許してもらえるなら、こう言うだろう。
「三輪くんはSTIバージョンでいいと思うよ。いやむしろ長い目で見ればその方がいいと、おっさんとしては思う」


三輪さんのマイカーレビュー
スバル フォレスター(2代目)
●マイカーの好きなところ/フロントマスクのデザイン
●マイカーの愛すべきダメなところ/燃費が良くないところ
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/アウトドア好きでMT車に乗りたい人

自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。
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