Aクラスセダン ▲デザインと走りはもちろん、2トーンカラーを含む全11色のカラーバリエーションも魅力的なトヨタ クラウンスポーツですが、その中古車価格はこの1年間で60万円以上のダウンを記録しています。これを機に、比較的狙いやすい状況になってきたクラウンスポーツの上手な選び方について考えてみましょう!

エステートは気になるが、お手頃になったスポーツもやっぱり気になる!

合計4種類のボディタイプからなる新型トヨタ クラウンシリーズ最後のモデル「クラウンエステート」が2025年3月、ついに発売されました。ステーションワゴンとSUVを融合させたそのコンセプトと、上質さと機能性を併せ持った作りに興味津々な方は多いかと思います。

しかしその裏で、新型クラウンシリーズの第2弾として2023年11月に登場した「クラウンスポーツ」の中古車平均総額が、この1年間で60万円以上のダウンを記録しています。
 

Aクラスセダン▲こちらは2025年3月に登場したトヨタ クラウンエステート
Aクラスセダン▲そしてこちらが、近頃まずまずお手頃価格になってきたトヨタ クラウンスポーツ
 

もちろんクラウンエステートの方もかなり気になりますが、クラウンスポーツの「60万円以上ダウン」という数字を見逃すわけにもいきません。

これを機に、もしもトヨタ クラウンスポーツの中古車を買うとしたら、どんなグレードをいくらぐらいで狙ってみるべきなのか、検討してみることにしましょう!
 

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トヨタ クラウンスポーツ(初代)
 

モデル概要:デザインコンシャスな新ジャンルSUV

新型クラウンシリーズの第2弾として2023年11月に登場したトヨタ クラウンスポーツは、「美しいデザイン」と「楽しい走り」を追求したという新しいカタチのSUV。

エクステリアデザインは「スポーツ」を名乗るにふさわしい躍動的かなもので、Dピラーからリアタイヤにかけて張り出したフェンダーが、ダイナミックで低重心な印象を与えています。

ディスプレイやシフトなどの各種機能をひとまとめにした「アイランドアーキテクチャー」を採用したインテリアは、運転席と助手席を非対称にコーディネート。運転席側はドライビングに集中できるようブラックで統一し、助手席側は「くつろぎ」を意識した素材と配色でまとまっています。
 

Aクラスセダン▲こちらがトヨタ クラウンスポーツ
Aクラスセダン▲プラットフォームはクラウンクロスオーバーと同じFFベースの「GA-K」だが、ホイールベースはクラウンスポーツの方が80mm短い仕上がり。デザインコンシャスなSUVゆえ、荷室容量は397Lと小さめだ
Aクラスセダン▲左右アシンメトリーなデザインとなる運転席まわり。写真のグレードは「Z」
Aクラスセダン▲「Z」のインテリア。シート表皮は本革で、後席はボディ形状からイメージする以上に広い
 

ボディサイズは全長4720mm×全幅1880mm×全高1565mmで、プラットフォームはクラウンクロスオーバーやセンチュリーでも使われている「GA-K」というもの。

前後サスペンションには接地感と減衰力にとことんこだわった独自のセッティングを施し、後輪操舵の「ダイナミックリアステアリング」も、クラウンスポーツの特性に合わせて最適化されています。

標準グレードにあたる「Z」が搭載するパワーユニットは、最高出力186psの2.5L直4エンジンにフロント側119.6ps、リア側54.4psのモーターを組み合わせたシリーズパラレルハイブリッド。システム最高出力は234psで、WLTCモード燃費は21.3km/Lです。

そして「RS」グレードが搭載するのは、2.5L直4エンジンに、モーターと51Ahのリチウムイオン電池を組み合わせたプラグインハイブリッドシステム。こちらのシステム最高出力は306psで、駆動方式は電気式4WDの「E-Four」。満充電状態で90kmのEV走行距離と、20.3km/Lのハイブリッド燃費をマークしています(※いずれもWLTCモード)。

なお「RS」のボディは、「Z」のものをベースにフロアトンネル部への補強パーツ追加などで剛性バランスを最適化し、それに合わせて前後ショックアブソーバーの摩擦特性と減衰力特性も見直されています。
 

 

中古車状況:1年間で平均価格は60万円以上ダウンし、流通量も順調に増加中

登場直後の2023年末は700万円台後半だったトヨタ クラウンスポーツの中古車平均総額でしたが、翌2024年春頃からはさっそく600万円台に突入。そして同年の年末頃には「600万円ちょい」というレベルに落ち着きました。

そしてその後も平均価格は微妙にダウンし続け、結果として直近では、前年同月と比べて61.6万円安い「614.1万円」になっています。これは中古車が流通し始めてから過去最安です。

Aクラスセダン▲2024年6月~2025年5月の支払総額推移
 

そして中古車流通量も、直近の3ヵ月こそ踊り場といえる状況になっていますが、基本的には登場時から一貫して右上がりで増加中。これはつまり「市場における個体数が増えたゆえに、平均売価が下がっていった」という、普通に健全な状況であることを意味しています。

また同時に「流通量が多いゆえ、様々な類似物件を多数見比べながら選ぶことができる」という、消費者にとってありがたい状況であることも、見て取ることができます。
 

Aクラスセダン▲公道試乗時の様子
 
 

中古車のオススメ①:価格重視でいくなら総額500万円台前半の「Z」

価格重視で、つまりなるべく手頃な予算でクラウンスポーツを入手したい場合は、2023~2024年式の「Z」を、総額500万円台前半の価格帯で探してみるのがオススメとなります。
 

Aクラスセダン▲システム最高出力234psの2.5Lハイブリッドを搭載するクラウンスポーツ Z
 

2025年6月下旬現在、トヨタ クラウンスポーツ全体の中古車価格は総額520万から770万円と、上下にかなり幅広い状態ですが、年式やグレードの違いに基づく価格差はさほど大きくはありません。

いや、もちろん「2025年式はまだ高い」「トップグレードであるRSは高い」という傾向はありますが、年式やグレード以上に「走行距離の多寡」と「オプション装備の内容」が価格の決め手となっているのです。

まず走行距離について考えますと、総額500万円台前半で狙えるクラウンスポーツは、それ以上の価格帯の物件と比べて「走行距離は相対的に延び気味である」とはいえます。しかし、延びているといってもせいぜい2万km程度である場合が多く、中には走行数千kmレベルの物件も多数流通しています。

より高額な予算を投じれば、走行数十kmあるいは数百kmレベルの物件を見つけることもできるでしょう。しかし、「そこまで極端に低走行じゃなくてもOKだ」と考えるのであれば、総額500万円台前半の予算であっても十分にコンディション良好な、走行1万~2万km台ぐらいの物件を見つけることができるのです。
 

Aクラスセダン▲クラウンスポーツとしては最安値圏にあたる総額500万円台前半の物件だが、その価格帯であっても中古車としての各種条件には何ら問題ない場合が多い
 

また比較的高額なクラウンスポーツの中古車には、トヨタの半ば純正品といえる「モデリスタ」のエアロパーツが装着されているケースが目立ちます。

モデリスタのクラウンスポーツ用パーツはもちろんなかなか魅力的ですが、もしもそれにさほど興味がないのであれば、わざわざ高いお金を出してモデリスタ付きの物件を狙う意味はさほどありません。

それゆえエアロパーツに興味がなく、「むしろノーマルの方が好きだ」と考える人であれば、総額500万円台前半のZであっても十分以上に満足できる可能性は高いでしょう。
 

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トヨタ クラウンスポーツ(初代) × Z
 

中古車のオススメ②:プラグインハイブリッドの「RS」は総額600万円台後半で

システム最高出力306ps、EV走行距離90kmのプラグインハイブリッドシステムと専用の足回りを備えている「RS」が欲しいという人も、少なくないでしょう。その場合は総額600万円台後半の予算にて、走行1万~2万kmぐらいの2023~2024年式を探すというのがモデルケースとなります
 

Aクラスセダン▲システム最高出力306psのプラグインハイブリッドシステムや、対向6ピストンのブレーキシステムなどを採用するクラウンスポーツRS
Aクラスセダン▲RSのインテリアカラーは写真の専用色「ブラック&センシュアルレッド」になる
 

こちらも「Z」の場合と同様に、さらに高額な予算(総額700万円以上)を用意すれば、さらに走行距離が少ない数十~数百kmぐらいの物件を見つけることはできます。しかし「そこまでじゃなくても……」と思うのであれば、予算は総額600万円台後半でも十分です。かなりいい感じの1台が普通に見つかることでしょう。

ただし「Z」の流通量が270台以上であるのに対し、「RS」の流通量は約30台にとどまっています(※2025年6月下旬現在)。そのため「そもそも若干探しづらい」という問題はあるのですが、「自宅近所の販売店でなくても構わない」と考えられるのであれば、極端に探しづらいということもないはずです。

やや希少だからこそ価値を感じられる「クラウンスポーツ RS」にご興味のある方は、ほぼ新車のような(?)RSを総額700万円台前半で探してみるというケースも併せて、ぜひご検討ください。
 

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トヨタ クラウンスポーツ(初代) × RS

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トヨタ クラウンスポーツ(初代)
文/伊達軍曹 写真/トヨタ、茂呂幸正
※記事内の情報は2025年6月24日時点のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。