SUVにセダンは駆逐されるのか!
2020/09/27

鶏か卵か
セダン市場の縮小が叫ばれてから久しい。とくに国内ではミニバンと軽自動車、近年はSUVの支持率が上昇していてセダンを選ぶユーザーが減少。
売れないから放置されて商品力が低下していくのか。商品に魅力がないから売れないのか。まるで「鶏と卵」の話のようだ。
レクサスはGSのモデルライフに幕が下ろされた。ここ日本では、1991年にトヨタ アリストとして始まったスポーティサルーンでレクサスブランドになってからはスマートな内装デザインが売りに掲げられた。
歴史のあるモデルも容赦ない
トヨタでさえマークXを廃止し、まもなく2Lモデルの生産が打ち切られるアリオン/プレミオもいずれ消えゆくことは難くない。
マークXは、マークIIからの流れをくむモデル、アリオン/プレミオは、カリーナ/コロナの流れをくんだモデル。いずれもかつてはトヨタの屋台骨を支えたセダンモデルであった。

ホンダもセダンを縮小
ホンダとて例外ではない。英国産ハッチバックと国内産セダンがラインナップされていたシビックを、前者だけに集約し、国内でのセダン販売を打ち切った。
シビックセダンは、2020年1月にマイナーチェンジされたばかりなのに同年夏に販売中止と改良版は短命に終わってしまった。
タイから輸入販売されてきた、グレイスの取り扱いにもピリオドが打たれた。


日本だけの話ではない
このセダン不振と撤退は、日本に限った話ではない。ファミリーカーのスタンダードとして定番化しているアメリカでも、同じ動きが現れている。
SUV市場でブロンコの名称を復活させたフォードは、北米で最後まで組み立てを行ってきたセダンのフュージョンを、2020年7月末で生産終了に。
同車の2020年第2四半期の販売台数は、約2万4000台で前年同期比55%減だった。新型コロナウイルスの影響も考えられるが、同社を代表するSUVのエクスプローラーは、前年同期より12%増の販売実績を残している。

Lサイズセダンだけが生き残るのか
とはいえ、一方でセダンのアップデートも図られている。メルセデスラインナップの頂点に据えられている、Sクラスだ。後輪操舵システムが採用され、最小回転半径の縮小など見どころ満載だ。
一方、北米でのCクラスセダン生産とメキシコでのAクラスセダン生産を打ち切る方針を固めたという。もっとも、Cクラスセダンの販売は継続されるそうで、ドイツからの輸入販売に切り替えられる。それでも事足りる見込みだという。

BMWは、7シリーズにピュアEVを新設定
BMWは少なくとも、5シリーズと7シリーズを存続させることを明らかにしている。ともに、次世代モデルにはEVが用意され、内燃機関を搭載するモデルと混合生産される予定だ。
参考までに、ミニを含む同グループの電動系モデルの販売比率(欧州)は13%を超えており、2021年には25%、30年には50%まで高める計画を掲げている。

レクサスはSUV商品群を拡充
日系メーカーが展開しているプレミアムブランドはどうか。いずれも北米マーケットに軸足を置いているので、将来的に商品ラインナップが再編されることは想像に難くない。
冒頭で触れた、レクサス GSの廃止はその序章にすぎない。2020年6月17日にお伝えしたとおり、ISは2020年秋にビッグマイナーチェンジで延命されるものの、世代交代は予定されていない。
一方で、SUVのラインアップ拡充は始まっており、2019年8月25日にベビーSUVとして紹介したエントリーSUVの開発もスタートしている。こちらは、2020年8月31日に国内デビューしたヤリスクロスの派生車となる。

アキュラはホンダとの差別化を画策
アキュラはセダン改革を推し進めている真っ最中だ。2020年5月に発表された、TLXはFF方式でありながらFR車のようなプロポーションを実現。ボルボと同じ手法でロングノーズが与えられて、シルエット刷新に乗り出した。
同時にホンダブランドとの差別化を図るために3L V6ターボが新搭載されるのもニュースで、低回転域でのトルクは従来の3.5L V6よりも50%アップを遂げる見通しだという。
10速AT、トルクベクタリング機構を有するSH-AWDとの組み合わせで、スポーツセダンに仕立てられることは想像に難くない。まもなく北米で販売開始される。

クラウンの大改革
最後に、国内ユーザーが買えるラージセダンの動向を見ていこう。国産高級サルーンの代表格として、歴史を積み重ねているトヨタ クラウン。
次期モデルでは、カムリからプラットフォームを譲り受けてFF化される。これは、現在の後輪駆動用プラットフォームの原価が高くてコスト削減が進めにくいだけでなく、大きな需要が見込める中国市場での生産性も考慮しての決断ではないか?と考えられる。
カムリとアバロン(こちらもカムリのプラットフォームを使用)は、中国で生産されている。
中国では前例のない後輪駆動のプラットフォームを使うよりも、生産実績のあるコンポーネントを用いた方が、効率アップと品質でのトラブル回避が達成しやすいことは説明するまでもない。
クラウンのFF化にはこうした事情が絡んでいるのかもしれない。

フラッグシップクーペも視野にいれる、マツダ
トヨタとは逆に、FF方式からFRレイアウトに代わるのがマツダ6だ。同社は商品群を、スモールとラージの2セグメントに分ける予定で、先にマツダ3とCX-30でスモールアーキテクチャーを実用化した。
続くラージアーキテクチャーは、FR方式に独自の直6エンジンが組み合わされて、本来なら2021年に登場する予定だった。しかし、軌道修正が図られたようで2022年へと持ち越されることが決まった。
マイルドハイブリッドのパワートレインとともに、次期マツダ6とCX-5で市場導入されフラッグシップとして、ラグジュアリークーペを据える計画もあるようだ。

※2020年9月25日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません
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