’68 LAMBORGHINI 400GT
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / VINTAGE EDGE
2013/09/05

オリジナルを見ると素晴らしさがよくわかるね
ランボルギーニの市販第1号車である350GTのルーフパネルなどをモディファイし、後席を追加。エンジンは350GTの4Lバージョンと同じV12型を積んでいた。また、外装は楕円形の2灯から丸型4灯に変更されているが、美しいボディラインはそのまま受け継がれている。写真の車両は浮谷東次郎氏の父である洸次郎氏が所有していた車で、写っているグローブなどは浮谷氏の私物となっている。
徳大寺 僕たち今日は何を見に行くんだ? 行ったことのある店だとは聞いてるが。
松本 前にもディーノ206やミウラでお世話になったキャステルオートさんです。見に行くのは巨匠にも縁のある車ですよ。
徳大寺 なんだろな。長く生きてるから縁のある車はたくさんあるけどな(笑)。
松本 巨匠とレース仲間で公私にわたりお付き合いのあった浮谷東次郎さんのお父さまが乗られていたランボルギーニ400GTなんです。
徳大寺 ホントかよ! じゃ東次郎のお姉さんがずっと所有されていたのかなぁ。そりゃ楽しみだ。何年から浮谷家にあったんだろう。
松本 お話を伺うと1968年以降のようです。
徳大寺 そうか。その年では東次郎は他界していたからな。いずれにしても彼(東次郎)のお父さんは弩級のCar Guyだからね。ずっと持っていたとなればかなり程度が良いんじゃないかな。ヴィンテージでも少し前にも400GTの後継車を見たよな?
松本 そうなんです。こういう車は見つけたときに見に行かないとすぐになくなっちゃうんですよ。3ヵ月前ぐらいに見に行きましたよね、“ランボルギーニ400GT2+2イスレロ”。あれはおとなしいモデルでしたけど、実際に見るとロングノーズで存在感ありましたね。
徳大寺 イスレロは新しい時代に合ったモデルとして出したかっただろうし、ある意味でコンサバティブなフェルッチオらしいモデルだよな。
松本 フェルッチオ・ランボルギーニさんは自らGTを作ろうとしたときに「技術的には過度なモノではなく、ごく正常で、コンベンショナブルで、完璧なモデルを作りたい」と。まさに神経質ではない優雅なグランツーリスモを作りたかったんでしょうね。400GTはそういった意味ではフェルッチオの考え方が正常に働いたモデルだと思いますよ。
徳大寺 フェルッチオさんは元々は技術にうるさい人間でね。工作機械にもこだわりがあった。機械をちゃんと育てようとした意図が、ランボルギーニ社の黎明期の顧客への配慮でよくわかるんだ。今日見に行く400GTだって、そうした意図を組み込んだモデルの1台だからね。
松本 そう僕も聞いたことがありますよ。クロムモリブデン鋼から削りだしたクランクシャフトは、ラッピングを重ねて、組み上がったエンジンを20時間以上テストランニングする。その後3日間かけてアウトストラーダでテストするそうですね。
徳大寺 現在では考えられないけど、そのくらいの意気込みがあったんだろう。400GTは当初の3.5Lから4Lにスープアップして乗りやすくしたんだ。しかも当初使用していたZFのトランスミッションとソールズベーリーのディファレンシャルでは高速で巡航すると音が気になったらしく、フルッチオは400GTからサンタアガータ製のトランスミッションとディファレンシャルにしたそうなんだな。かなり静かで扱いやすいモデルとなったんだ。
松本 話をしていたらあっという間に横浜に到着しました。ありますね、400GT。後ろ姿ですが間違いないですね。色はマルーンといったところでしょうか。内装がタンで上品ですね。巨匠! 見てください! オリジナルコンディションですよ! リペイントしていないでこんなにきれいなんて奇跡的といっていいですね。
徳大寺 これは確かに極上だな。レストアしてないモデルは歴史を感じられていいんだよ。だけどきちんとしたメンテナンスが大切なんだ。レストアは歴史を書き換えてしまうけど、こういう車は歴史を育てるロマンがあるな。このシート生地どっかで見たことないか?
松本 これは、プラダやグッチの黎明期に使われていた革ですね。アルファロメオなんかもこの生地をビニールで再現していましたね。
徳大寺 そう。ペッカリーといって…欲しいな(笑) ペッカリーは最高の革のひとつでしっとりとした風合いが紙幣を数えるには最高といわれたんだ。だからシート生地にするには理にかなっているわけだよな。滑りにくいということで。現在ではここまで上質なペッカリーをふんだんに使えばかなりの値段になるだろうな。いいモノを作っていたのがオリジナル状態を見るとよくわかる。ここまでオリジナル状態で50年近く残っているのは極めて貴重な1台というわけだな。




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