メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ▲4L V8ツインターボとモーター、AMG自社開発のバッテリー、パフォーマンス志向の連続トルク可変配分4WD(4MATIC+)を組み合わせたGT 4ドアクーペのトップパフォーマンスモデル。最大システム出力843ps、最大システムトルク1400N・m以上を実現している

あくまでパフォーマンス志向のPHEV

いまメルセデスAMG社の独自開発モデルといえばGTクーペ、SLロードスター、そして2019年にデビューした唯一の4ドアモデル、GT 4ドアクーペだ。ラインナップは4L V8ツインターボエンジンを搭載した「GT 63 S 4MATIC+」をはじめ 、3L 直列6気筒エンジンに「ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)」を組み合わせた「GT 53 4MATIC+」と「GT 43 4MATIC+」などがある。

今回の試乗車は上級モデル「GT 63 S 4MATIC+」をベースに、リアアクスルにバッテリーとモーターを搭載したプラグインハイブリッド(PHEV)の「GT 63 S E パフォーマンス」。GT 4ドアクーペシリーズのトップパフォーマンスモデルになる。
 

メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ ▲F1由来の技術を用いたAMG高性能バッテリーを搭載。速やかな放電と充電に重点に設計されており、高速走行時にもパフォーマンスを向上させる、バッテリーセルを直接冷却することで作動温度を安定化させる方式を採用した

PHEVと聞くと環境対応モデルかと思いきやそこはAMG、さにあらず。重量増をさけるためバッテリー容量は6.1kWhと最小限におさえられており、EV走行距離はわずか12km(WLTCモード)。それでも深夜や早朝の住宅地などでは静かに走行可能と考えれば十分なもの。あくまでもパフォーマンス志向なのだ。

エンジンは「OneMan ,One Engine」の哲学で知られるメルセデスAMG社製の4L V8ツインターボで、単体で最高出力639ps、最大トルク900N・mを発揮する。これに交流同期モーターとAMG自社開発の高性能バッテリー、AMGの独自の連続トルク可変配分四輪駆動システムの 4MATIC+を組み合わせた、F1の技術を投入した駆動システムを採用する。システム出力843ps、最大システムトルクは1400N・m 以上! というから驚くほかない。0→100km/h加速は2.9秒、200km/hまで10秒未満、最高速度は315km/hに到達する。

ボディサイズは全長5050mm、全幅1955mmと、5mオーバーで幅もほぼ2mとかなり大きい。しかし、クーペルックなスタイリングもあって見た目には大きさを感じさせない。

インテリアデザインは従来モデルを踏襲するもので、ステアリングには走行モードなどダイヤル操作が可能なAMGドライブコントロールスイッチが備わる。大型のディスプレイはメーター類とナビゲーション用の2枚を一体化したもの。センターコンソールには周囲に選択したモードがカラー液晶によって表示されるスイッチをレイアウトし、その真中にタッチパッドを配置する。使い勝手に配慮し、エアコン操作系などもあわせて物理スイッチが残されている。
 

メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ▲2つの12.3インチディスプレイを1枚のガラスカバーで融合させたコックピットディスプレイなど、最新ブランドデザインを採用

公道を走るだけでワクワクさせてくれる

通常バッテリー残量が十分にあれば、エンジンスタートボタンを押すとディスプレイには「Ready」のアイコンが現れ、AMGならではのパワフルな始動音がスピーカーから流れる仕組みに。そして、EVとして発進すると50km/hまでは低周波のAMGサウンドを車外に発することで、接近していることを歩行者など周囲に知らせるようになっている。

AMGダイナミックセレクトによるドライブモードは、「Electric」「Comfort」「Sport」「Sport+」「RACE」「Slippery」「Individual」の7種類がある。「Electric」「Comfort」は基本的に電気モーターで発進、それ以外のモードではエンジンと電気モーターを組み合わせて発進を行う。また回生ブレーキの強さは4段階で調整が可能で、「Slippery」モード以外のすべてのモードで適用される。最強レベルにするとほぼワンペダルフィーリングが味わえる。

サスペンションには、セルフレベリング機構付きマルチチャンバーエアサスペンションをベースに、減衰力特性の調整が可能な電子制御アダプティブダンパーと組み合わせた「AMG RIDE CONTROL+エアサスペンション」を標準装備。これにESPや四輪駆動、LSDなどを統合制御するシステム、AMGダイナミクスを組み合わせている。

そして後輪には最大1.3度の角度がつくリアアクスルステアリングを搭載し、コーナーではまるでボディが小さくなったかのような回頭性をみせ、駐車などの日常シーンでは取り回しが容易になる。さらにフロント6ピストン、リアシングルピストンのカーボンセラミックブレーキのフィーリング、制動力ともに秀逸のもの。バネ下重量の軽減による効果も大きいはずだ。
 

メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ▲ツインスクロールターボを2基備えた4L V8エンジンは単体で最高出力639ps/最大トルク900N・mを発揮する

新東名高速の制限速度120km/h区間を9速1500回転くらいで流しながら考えてみる。この車の本来のパフォーマンスを発揮するシーンは公道にはないな、と。ただそれでも普通にドライブしていてワクワク感を覚える。それで良いではないか。

思い起こせば先日試乗した2L 4気筒をベースにした「C63 S E パフォーマンス」にどこか物足りなさを感じていた。電動化しようともAMGの「OneMan ,One Engine」がもたらすV8エンジンがいかに重要な存在であるのかを思い知った次第だった。
 

メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ▲ダンパーの伸び側と縮み側をそれぞれに制御するAMG RIDE CONTROL+ エアサスペンションを装着。AMGカーボンセラミックブレーキも標準装備となる
メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ▲逆スラントしたシャークノーズには縦にルーバーの入ったAMG専用グリルを備える
メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ▲AMGカーボンパッケージをセレクトすれば、内外装のカーボンパーツに加えカーボン製リアウイングが備わる
メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペト▲給電口はリアバンパーに備わっている
メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ▲フルレザー(ナッパレザー/MICROCUT)のAMGパフォーマンスシートも選択可能
メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ▲全長5050mmの大柄なボディで後席もゆったりとした広さに。ラゲージ容量は461~1324Lを確保する

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メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ
文/藤野太一 写真/井上誠、郡大二郎

ライター&エディター

藤野太一

カーセンサー、カーセンサーネットの編集デスクを経て、カーセンサーエッジの創刊デスクを務める。現在はフリーランスのライター&エディターとして、自動車誌をはじめビジネス誌、ライフスタイル誌などにも寄稿する。

メルセデスAMG GT 4ドアクーペの中古車市場は?

メルセデスAMG GT 4ドアクーペ

AMG独自開発モデル「GT」の4ドアクーペ。ファストバックスタイルを採用する。ハイパフォーマンスモデルながらゆとりある室内空間を備えることで、日常の使い勝手も注力された。エンジンタイプは3L 直6ターボ&スーパーチャージャーと4L V8ツインターボの2種類を用意する。

2025年6月下旬時点で、中古車市場には100台程度が流通。支払総額の価格帯は630万~2610万円となる。
 

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メルセデスAMG GT 4ドアクーペ
文/編集部、写真/メルセデス・ベンツ日本
※記事内の情報は2025年6月23日現在のものです。

【試乗車 諸元・スペック表】
●63 S E パフォーマンス 4WD MP202402

型式 4LA-290679 最小回転半径 5.8m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 5.05m×1.96m×1.45m
ドア数 5 ホイールベース 2.95m
ミッション 9AT 前トレッド/後トレッド 1.66m/1.65m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS 車両重量 2410kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 4名 車両総重量 -kg
ミッション位置 コラム 最低地上高 0.14m
マニュアルモード
標準色

オブシディアンブラック、グラファイトグレー、ハイテックシルバー、スペクトラルブルー

オプション色

スペクトラルブルーマグノ(マット)、パタゴニアレッド、オリーブ、ルビーライトレッド、オパリスホワイト、グラファイトグレーマグノ(マット)、セレナイトグレーマグノ(マット)、コートダジュールライトブルー、イエローストーン

掲載コメント

※充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ)WLTCモード 12km
※EV走行換算距離(等価EVレンジ)WLTCモード 13km
※交流電力量消費率 WLTCモード 385Wh/km 市街地モードWLTC-L 368Wh/km 郊外モードWLTC-M 347Whkm 高速道路モードWLTC-H 453Wh/km
※一充電消費電力量 WLTCモード 4.62kWh/回

型式 4LA-290679
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション 9AT
AI-SHIFT -
4WS
標準色 オブシディアンブラック、グラファイトグレー、ハイテックシルバー、スペクトラルブルー
オプション色 スペクトラルブルーマグノ(マット)、パタゴニアレッド、オリーブ、ルビーライトレッド、オパリスホワイト、グラファイトグレーマグノ(マット)、セレナイトグレーマグノ(マット)、コートダジュールライトブルー、イエローストーン
シート列数 2
乗車定員 4名
ミッション
位置
コラム
マニュアル
モード
最小回転半径 5.8m
全長×全幅×
全高
5.05m×1.96m×1.45m
ホイール
ベース
2.95m
前トレッド/
後トレッド
1.66m/1.65m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 2410kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.14m
掲載用コメント ※充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ)WLTCモード 12km
※EV走行換算距離(等価EVレンジ)WLTCモード 13km
※交流電力量消費率 WLTCモード 385Wh/km 市街地モードWLTC-L 368Wh/km 郊外モードWLTC-M 347Whkm 高速道路モードWLTC-H 453Wh/km
※一充電消費電力量 WLTCモード 4.62kWh/回
エンジン型式 177 環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆
種類 V型8気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 73リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 3982cc 燃費(WLTCモード) 8.3km/L
└市街地:5.4km/L
└郊外:9.4km/L
└高速:9.7km/L
燃費基準達成 -
最高出力 639ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
900(91.8)/4500
エンジン型式 177
種類 V型8気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 3982cc
最高出力 639ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
900(91.8)/4500
環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 73リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 8.3km/L
└市街地:5.4km/L
└郊外: 9.4km/L
└高速: 9.7km/L
燃費基準達成 -