絶滅危惧車の初代ピアッツァで、“シニア感覚”を味わうべし!
2018/09/19

ほぼコンセプトカーのままで登場したモデル
1979年、ジュネーブモーターショーでいすゞはジョルジェット・ジウジアーロが手がけた「アッソ・ディ・フィオーリ」というコンセプトカーを披露した。いすゞのフラッグシップモデルであった、117クーペの実質的な後継車にあたる。
ピアッツァの名称で販売を開始したのは、ジュネーブで披露されてから2年後のことだった。コンセプトカーよりも若干、ボディサイズは大きくなっているが基本的なデザインは変わっていない。これは当時としては珍しく、世界的に話題を呼んだ。
あえて言うなら、デビュー当時は認められていなかったドアミラーの採用を見送るしかなく、法改正された1983年まではフェンダーミラーを採用していたことが大きな違いと呼べるだろう。
それまでの117クーペが流麗さを全面に打ち出していたのに対して、ピアッツァは近未来的に方針転換したかのようだった。おそらく、1980年代に向けて、他社を圧倒する先進性を追い求めたのだろう。大げさでもなく、おべんちゃらでもなく、それほどずば抜けた未来感を持ち合わせていた。
個人的にはジウジアーロが同時期に手がけたアウディクーペGT、デロリアン DMC12、BMW M1などのエッセンスすら感じる。ただ、ピアッツァが際立っているのは、いわゆる“フラッシュサーファス”と呼ばれる、ボディ表面に凹凸が少なく、空気抵抗の低さが強調されていたことだろう。
インテリアのコックピット感も、特筆に値する。基本的に各種スイッチはステアリングを握ったまま、手を伸ばせば操作できるように配置されている。当時、ジウジアーロが推し進めた新しい操作感覚だったのだろう。事実、同時期にジウジアーロが手がけた車と似たようなスイッチ配置となっている。

ただ、シャシーは旧型ジェミニのものを、エンジンはジェミニの1.8Lを1.9Lまで拡大したもの、そして117クーペに搭載していた2Lエンジン、とハード部分は非力さが否めなかった。いすゞはそれを認識していなのか、デビュー当時のキャッチコピーは「シニア感覚」だった。
1984年には2Lターボエンジンを導入し、1985年には西ドイツ(当時)のチューナー、イルムシャーが足回りを手がけたモデルが追加され、ピアッツァ人気のテコ入れが図られた。1988年にはロータスとの技術提携により「ハンドリング・バイ・ロータス」という特別モデルも追加された。
イルムシャーにせよ、ロータスにせよ、デビュー当初とは違うお金のゆとりを感じさせるのはバブル景気のおかげか?
もう日本では乗用車の販売から撤退したいすゞの歴史の一ページを担う、ピアッツァ。40年近く前にデビューしていながら、今見ても前衛的に感じられる国産車、そうそうあるものではない。
立派にネオクラシックカーとなっているし、スポーツ性能を本気で追い求める人も少ないだろう。ピアッツァで今、“シニア感覚”を味わってみるのも面白いかもしれない。
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