絶滅危惧車のY32型グロリアには、あからさまではないが本物志向で贅沢にしつらえられた高級感がある
2019/10/16

優れた操縦性を実現するための「アクティブ・セーフティ」
Y32型こと9代目日産 グロリアは、1991年から1995年まで販売された。
“MIND SHIFT「高級」の次へ”というキャッチフレーズとともにデビューを飾り、今までのグロリアとは一線を画した。
開発責任者は、先代のY31で洗いだした問題点を片っ端からY32で改善していった。
具体的にはワイパーの払拭面積の問題、乗り心地の荒さ、ブレーキペダルのタッチの悪さ、裸電球のような室内の照明などが挙げられた。
従来の直線基調なセダンから、丸みを帯びたデザインへの「変化」を感じさせる仕上がりとなった。
従来よりも“走り”を前面に打ち出し、今でこそ当たり前となった“アクティブ・セーフティ”に言及するようになった。
アクティブ・セーフティとはつまり、衝突回避をサポートする優れた操縦性能の提供が大前提となる。
また、優れた操縦性ということは、優れた走りにつながるというわけだ。
そんな走りを実現するために、フロントサスペンションにはマクファーソンストラット式、リアサスペンションにはコスト高といわれているマルチリンク式を採用している。

「トータルコーディネイト照明」には特に注目!
エンジンのラインナップは豊富で、ガソリンエンジンは2L V6 SOHC、3L V6 SOHC、3L V6 DOHC、3L V6 DOHCターボ、そして2.8L 直6ディーゼルエンジンが用意されていた。
トランスミッションは従来、4速もしくは5速ATが組み合わせられ、先代まで設定されていた5速MTは姿を消した。
また振り返ってみれば、グロリアの中でも「グランツーリスモ」と呼ばれる丸目4灯ヘッドランプをもつ“スポーティ”なモデルと、「ブロアム」と呼ばれる2灯ヘッドランプをもつ“落ち着き”を感じさせるモデルの2つに分けられていた。


これはひとつのグロリアというモデルにおいても、幅広いユーザーの獲得を目指した証しだろう。
マルチAVシステム、3ウェイエレクトロニックメーターなど当時の最先端装備を備えていた他、運転席エアバッグ、ABS、V-TCS(トラクションコントロール)、プリテンショナーシートベルトなどの安全装備にも抜かりがなかった。
個人的には「トータルコーディネイト照明」がたまらなく好きだった。
実に21もの間接照明を採用し、走行時でも夜間でも上質な室内空間を感じさせるギミックが与えられた。
リアシートの座面下、ウインドウスイッチまわり、Bピラー上部などが間接照明によって浮き上がる様は、さながら高級ホテル。
さすがバブル期に投入された高級車なだけある。
しかも、後継の10代目Y33グロリアではここまでの間接照明が採用されていないことを考えると、結構なコストだったのだと推測される。
そして9代目グロリア以降、メルセデス・ベンツやBMWといった高級車メーカーが間接照明を採用していることは面白い。


グレードによる中古車価格の差はほぼナシ
生産を終了してから24年が経過しているので、もはや残っているだけで“奇跡”のような巡り合わせだ。
輸入車だったり、スポーツカーだったりすれば、「ネオクラシック」として大切にされることもあるが……。
原稿執筆時点(2019年10月3日)でカーセンサーnetに掲載されているのは、わずか8台。
ただし、中古車相場は最も安いものでは40万円ほど、高くても90万円くらいといった感じで手頃感がある。
グレードによる価格差はあまりなく、廉価版だった2Lエンジン搭載モデルでも、低走行なものは比較的高めに販売されているものもある。
あからさまな高級感ではなく、バブル期だったからこそなしえた本物志向の贅沢なしつらえ……今となっては懐かしさしかない。
ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!

▼検索条件
日産 グロリア(1991年6月~1995年5月生産モデル)×全国
自動車ライター
古賀貴司(自動車王国)
自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。
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